~浜松から~ 幸せを感じるマスクメロンを皆様へ
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天使音マスクメロンへの思い

天使音マスクメロンへの思い

天使音マスクメロンの生みの親の私、影山雅也は常に挑戦し続けるメロン農家です。

父親の代から浜松市でメロンを作ってきた私が、クラウンメロンで有名な静岡県温室農業協同組合を脱退したのは12年前の平成248月です。

静岡県温室農業協同組合http://www.melox-shizuoka.or.jp/

それ以前から、静岡温室マスクメロンを未来につなげていくために、新しい試みをし、苦労の末に生み出したのが完熟マスクメロン「天使音(あまね)マスクメロン」です。

 私が理想として追い求めているのは、ただ単に「美味しいメロン」です。当たり前過ぎて笑われるかもしれませんが、そこには高級贈答品である静岡温室マスクメロンならではの事情があります。静岡温室マスクメロンの生産者で構成する静岡県温室農業協同組合の品評会では、熟度、肉質、肉色、香気、食味などの内容6割に対して外観4割の比率で採点しますが、審査する際には外観の審査を先に行いうため、後に行う内容の審査の時はどうしても審査員は、きれいなメロンは美味しいだろう・・・という先入観で審査をしてしまう傾向があり、外観の良いメロンが入賞する確率が当然高くなってしまいます。大きさ、色、網目の美しさ、側枝(メロンの上についているツル)の立派さなどの見た目が重要な審査対象で、もちろん全て大切な要素ですが・・・市場の評価も品評会と同じです。まずは外観が良くなくては評価されません。そのため生産者はいかに外観の良いメロンを栽培するかに重点を置き、当然のように外観と大きさ優先の品種改良を行い、ついには静岡温室メロンの美味しい味の命である純系のアールスフェボリットの品種を捨て去りました。しかし「まずは“味と香り”なんです。一番大切である味と香りが芸術品の様な美しさを競うあまり疎かになっている。お召し上がりいただく方には「美味しいメロン」が一番大事なことだと考えていますし「美味しいメロン」には食べた時の感動を覚えていただけます。

さらに美味しくなければだれもメロンに見向きもしなくなる。」と思い、そこから私は品評会とは一線を引き、美味しさを追求した食べる方が基準のメロンを栽培しようと試行錯誤が始まりました。

 かつて私はメロンに関する文献を手繰る中で、ひときわ皆を驚かせた「クリームメロン」と呼ばせたほど美味しいマスクメロンの事を知りました。このメロンは甘くクリーミーな肉質と高い香りを持ち、試食に参加した有識者からもとても評価が高いメロンでした。しかし栽培が難しく、果実が小さい、またきれいな網目も出ないなど、味と香りは突出していたがそれ以外が基準に満たないため消えていったと書かれていた。ただこのメロンの母親がヒーロー・オブ・ロッキンジという白肉系のメロンである事も解りました。この種は英国女王エリザベス2世の戴冠式に出席するためイギリスに行かれた秩父宮妃殿下が、お付きの麻生和子(吉田茂首相の娘)氏に、香り高いメロンの種を集めることを頼み、麻生氏が苦労の末に入手してイギリスから持ち帰った中の一つという逸話があります。そして私はこの「クリームメロン」に興味を持ち、静岡大学農学部の研究室の奥にこの種が眠っていることを突き止めました。

種を手に入れた私は、様々な緑肉系(アールスフェボリット)の種との改良を繰り返しついにヒーロー・オブ・ロッキッンジとアールスフェボリットの特徴をもつ、小さい中にギュッと濃縮されたクリーミーな味・コク・香りが、私の満足のいく影山版クリームメロン「This is muskmelon!」にたどり着きました。同時により美味しく食べられる収穫の方法も研究を続け、特許技術の開発に成功しました。それがダブル完熟(特許第6043975号「メロンの香味改良方法」)と呼ぶ独自のテクニックです。そしてこの収穫方法はメロンに含有するギャバの量も増やします。(特許第6175660号「メロンのギャバ含有量増加方法」)

メロンをぎりぎりまで樹に成らせた状態にして、熟成を進めて糖度を高める。さらに最後の段階で根を数本だけ残して抜き、土壌からの水分供給を制限して糖度を一層高めるという2段階(ダブル)の熟成をへた収穫方法。これは偶然の産物でした。

それは農林技術研究上に根を抜いた収穫方法でのメロンの分析をお願いしたところ「根を抜いて熟成を進めた5つのメロンの樹のうち、たまたま1つの樹だけ全て根を抜いたつもりが1本だけ根が残ってたんです。ところが5つとも農林技術研究所に持ち込み、データを取ってもらうと、根が残っていた1つは甘みや香り、機能性成分が他のものを圧倒していました。」こうして生まれたダブル完熟による収穫をしたマスクメロンは、天使の歌声のように甘く透き通った私の理想とする味わいを手に入れました。幻のメロンの種を見つけ出した幸運、そして、思いもよらない熟成法を発見した幸運。でもそれらは、メロンに関する情報を集め、より美味しくする方法を常に考え、実験を繰り返し、その結果から新しい仮説を立ててさらに実験を進めるという、誰にも負けないメロンに対する愛情と旺盛な探究心で引き寄せた幸運だと思いますし、そしてその幸運は天使が繋いでくれた神様からのプレゼントだと思っています。

実は今、静岡温室メロンは産地として存亡の危機に直面しています。それは前述した静岡温室メロンの生産者で組織する、静岡県温室農業協同組合(ブランド名 クラウンメロン・アローマメロン)はピーク時(平成2年)には約1,700名近くいた組合員が現在では500人を切り、ここ23年の内には300人台になると予想するからです。そのような中でも、組合内部では同じ種を栽培しているにも関わらず、2つのブランドが存在し、組合としての販売戦略すら立てることができない状態です。また、メロン本来の味を追求することを忘れ、外観と大きさばかり求め品種改良を重ねてきたことにより、他産地との違いがほとんどなくなってしまい、ブランドを外せばメロンの違いすら分からないところまで来ています。さらに生産者は、そのことに全く気付かずに外観と大きさを求め、本来メロンの味を悪くするため使用しない方が良いとされる、植物成長調整剤(ホルモン剤)も使用しているため味の評価は下がるばかりです。そしてここ数年来の燃料価格の高騰と、メロンの味の評価が下がったことによる販売不振からの価格低迷で、メロン栽培から離農する人が増え、後継者も育たないため組合員数は減少の一途を辿るばかりです。

このままでは先人が培ってきた栽培技術の継承もままならず、産地が崩壊していく事が目に見えており、何とかメロンの産地の維持再生をしたいという思いからも、天使音マスクメロンのブランドを起ち上げて販売を開始したのです。

 

小さなボディーにぎっしりと可能性が詰まった「天使音マスクメロン」。よりおいしく香り高い私の「理想のメロン」への挑戦はまだまだ続いています!そして世界中の人に「天使音マスクメロン」の美味しさを評価していただき、そしてその声が静岡温室メロンの生産者に届くことにより、生産者がメロンの命である「美味しいメロン」を栽培する事の重要性に気付いてもらえれば、静岡温室メロンの産地の維持再生はできると信じています。

そしてそれが私の挑戦し目指している目標です。

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